京都1975 -3ページ目

白川南通り

白川南通り

太秦天神川駅

太秦天神川駅

キャロット


北山の街を見渡す。カフェ、パン屋、ケーキ屋……。改めて気付くのは、いたって普通に飯が食える店って実は全然ないってこと。もちろんロイヤルホストで済ますってのもありだけど、それじゃあなんだか味気ない。そんな中、地元の人たちに愛され続けている店がある。「キャロット」がどんな店なのかを一言で説明するのは難しい。洋食屋であり、定食屋であり、喫茶店であり、バーであり、居酒屋でもある。店内に入って一段上がると洋食屋の雰囲気を醸し出すメインのテーブル席、奥でさらに一段上がると落ち着いた黒い木目調のバー風カウンター席、さらにその背後で一段上がるとあらま、びっくり掘りごたつ!隣には和風の坪庭。メニューもこれまたびっくりで、ハンバーグ・フライ・ピラフ等の洋食メニューを始めとして、カレー、パスタ、丼物、じゃこしそご飯……。極めつけとしてししゃもの塩焼き等、酒の肴用の一品メニューまで取り揃える。決して広くはない店内であらゆる要素を貪欲に取り入れた、良い意味でバーリトゥードな飲食店。女性の店員さんだけで切り盛りされており、出てくるメニューに手抜きなし、しっかりと調理されている。定食は味噌汁・ご飯・お箸で、安心のジャパニーズスタイル。てなわけで言わずもがな、どの時間帯に行っても繁盛していて、特にランチタイムは常時満席。知ってる人は知っている、北山の美味しい「ごはんどころ」、それが「キャロット」、という〆で。

キッチンハウス キャロット
★★★★ 4.0

紫蔵


関東ラーメンの代表格、京都に密入国?ラーメン好きなら知らない者はいないと思われる「家系」のラーメンが左京区茶山にひっそりと誕生。じゃあなんで店名が「紫蔵」?ふつー「○○家」じゃ?そこはいうても舌の肥えた貴族たちが闊歩する歴史のまち・京都。初上陸にあたりそう易々と関東(よそ)の文化を受け入れてもらえるわけじゃぁない。結果、柔軟に古都スタイルに対応すべく、あえて「家」の看板を外すことで、それが持つ縛り・重圧をひとまず回避したというわけ。これぞ家系ラーメン界の隠れキリシタンやぁ~(彦麻呂風←古い?)。店主は数奇なラーメン道を歩まれていて、実は某有名京都ラーメン店の関東エリア・フランチャイズにて活躍。が、いざ京都で自分の店を持つ段階になり、そのまんま京都ラーメンを逆輸入しても意味がないってことで東京・「蔵前家」にて修行し家系ラーメンに「改宗」。まさにミイラ取りがミイラになったとはこのことだ(いや違う)。個人的に家系ラーメンというと、あの独特のアニマル臭と麺のぶっとさが生み出す負のスパイラルに大変苦しめられたという、ほろ苦い思い出がある。が、「紫蔵」のスープを一口すすってみてびっくり、全く臭みがない。まろやかで、濃厚で、ぶっとい縮れ麺に絡みついて……これ美味いやん。なんでも店が大規模になるほど、スープの骨依存度が高まり「骨大量投下→臭くなる」というジレンマに陥るそうな。んなこと言わはるけど店主さん、あんたんとこもじきにブレイクしはるやろうし、このスープの美味さをキープする試練、まさにこれからが勝負どすえ……いち京都人より、愛を込めて。

紫蔵 (しくら)
★★★★ 4.0

松ヶ崎疎水

松ヶ崎疎水

松ヶ崎疎水

たつみ


真っ昼間からの立ち飲み。いつものようにハイリキと冷や奴を注文。左側には甚平姿の外人さん。タッパがあって、恰幅のいい、なんとも立派な出で立ち。ちょいと片言で「升酒」。えっ!すごいの注文しはる。目の前に出てきた升酒と盛り塩。ちょいと塩をつまんで升の角に置き、口元へクイっと。立ち位置周辺をお絞りで拭き拭き、常時綺麗な状態でキープ。粋やなー!感心していると、右側からただならぬ熱い視線。齢70くらいのじいちゃん。目を細めながら、笑みを浮かべながら、うんうん頷きながら、その視線は外人さんにロックオン。暫くして「お姉さん、お愛想」、片言ながら去り際もすばらしい。「達者な外人さんやったねー!」パスを出してみると、じいちゃんの口から言葉があふれ出す。作法を理解したあの酒飲みは大したもんやと。色んな外人がおるけど地域にどれだけとけ込めるのかが重要なんやと。まだ御輿を担ぐ身分やけど今度の祭はあいつに担がせたいと。熱いメッセージフロムじいちゃん。「また会おな、これいる?」と、この店のサービス券。やったーこれで10枚、次は一杯タダ酒やでー。

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ペンネンネネム

ペンネンネネム

ペンネンネネム
ペンネンネネム
★★★★ 4.0

のらくろ


下鴨神社のほど近く、下鴨本通りから西に一筋。閑静な住宅街に忽然と姿を現す洋食店「のらくろ」。いわゆる「京都本」関係に掲載されまくりの超有名店。京都以外のエリアから来られた方には少々分かりにくい立地のため、近辺にはガイド本を片手にうろうろと徘徊する「のらくろゾンビ」さんたちの姿もちらほら……。激戦区のランチタイム。12時開店と同時に常連さんと一見さんが一気に押し寄せ、あっちゅう間に満席。こんなローカルな立地で凄まじい集客力……恐るべし!昭和9年創業という老舗、古き良き雰囲気漂うレトロな店内。この店の「トルコライス」は余りにも有名。これって同じ京都の洋食店「キッチンゴン」で言えば「ピネライス」 に当たるいわゆる看板メニューで、確かにそれなりに美味いんだけど、やっぱり洋食店というと、ハンバーグ、海老フライというステレオタイプな洋食メニューを思う存分がっつきたい。結論から言うと、この店のフライ関係はハンパなく美味い。サクサクとした食感が香ばしい、大粒のパン粉がなんと言っても絶品。そんなパン粉にくるまれた極太でプリプリとした食感の海老、この海老フライは卑怯だ……美味すぎる……。さらにフライという形状を辛うじて維持するほどに、ふにゃふにゃの状態で配されたクリームコロッケ。外側のサクサク感と、中身のどろどろ感、このコントラストがホンマにたまらん!ただし、中身のクリーム部はマグマのように沸々と煮えたぎっているので、くれぐれも口の中の火傷には要注意。「のらくろ」は洋食好きの方には是非ともお勧めしたい名店。が、食前に配られるおしぼりは……非常に埃くさい!こんなところに古き良き昭和の香りが。

のらくろ
★★★★★ 4.5

下鴨神社

下鴨神社

下鴨神社

下鴨神社

じゅんさい


国際会館の東側の細い道。お昼時、この道に入っていく車があれば、ほぼ間違いなく「じゅんさい」がお目当て。住宅街に、普通の住居のようにさりげなく存在する洋食店。店内はテーブル席のみの古き良き喫茶店風。南側に設けられた大きな窓から燦々と日光が差し込む。6台分ある駐車スペースは激戦区。「えらいはやってんなぁ」と、マダムの声があちらこちらから。店の奥にある厨房で2、3人のコックさんが腕をふるう料理は、ボリューミー且つ手堅く美味い。940円でハンバーグ・プラス一品がチョイスできるランチは味噌汁と香の物もセットで付いてきてリーズナブル。個人的にこの店がイケてる点…ジンジャーエールがウィルキンソンというこだわり!けれんみのないお店ながら、一事が万事。これが実はデカい。

グリルじゅんさい
★★★★ 4.0