京都1975 -4ページ目

スープ屋さん


西陣の片隅に汚らしい怪しげな暖簾。「スープ屋さん」。首都圏の駅構内で見かける無添加のスープ専門店のようなノリ……?いやいや、スープはスープでも、このお店はスープカレーの専門店。北海道出身のご主人が本場の味を再現する評判の店。入口の引戸をガラリと開けると……そこは土間。靴を脱いで、お座敷に上がって……なんだか近所のおばちゃんの家にお邪魔している感じ。布張りの床、簾が掛けられた壁、あちこちにぶら下げられたアジアンな織物。手作り感のある、キッチュで無国籍な空間であり、ムーディーなBGMの向こう側で、まだ幼い息子さんの鳴き声が聞こえてくる、ある意味緊張感のない、ゆるい空間。この店のスープカレーはやや黄色がかった透明スープ。口にすると、見た目通りバジルの強い香りが鼻をすぅーっと通る。でもって説明のしようがないくらいに複雑にスパイスの風味が舌の上で交錯。食後暫くはスパイシーな吐息になること必至(ゲップ含)。この店のスープカレーを食えば、「カレー」と「スープカレー」が「うどん」と「皿うどん」くらいに違う料理であることを実感できる(謎な比較)。あと、漫画コーナーにいくらなんでも「はだしのゲン」は……懐かしくて読みたいけど飯時に読む人いいひんやろ。

風花


烏丸高辻東入ル、緑色のテントに輝く「新宿めん屋 風花」の文字。なぜ故に「新宿」なのか、というツッコミはひとまず置いておくとして……。烏丸通りの喧噪とはうって変わって、仏光寺にほど近く、ひっそりと静かなお土地柄。にも関わらず、割とお客さんは多かったりする、そこそこ名の知れたラーメン店。「風花」のラーメンは一言で表現すると「海」。石垣島の天然塩を使用した塩ラーメン。一口すすると様々な海産物のエキス・風味が舌の上を行き交う。彦麻呂風に表現すると「海の幸のオーケストラやぁ~!」なラーメン(超適当)。「これって海水みたいで気持ち悪ぅー!」実はこれがファーストインプレション。以来しばらく敬遠していたけれど、最近は何故だかツルツルいけてしまう。「美味いっ!」と絶叫するほどのインパクトはないけれど、しみじみと嗜める風味。年と共に美味いもんアンテナも変わるのか。これを彦麻呂風に表現すると「舌と味覚の第二次性徴やぁ~!」となるんかいな。

新宿めんや風花 (しんじゅくめんやふうか)
★★★★ 4.0

ビィヤント


東大路丸太町上ル、京大病院。大学病院ってすごい広大な敷地で、道路を挟んだ対面に、なんだか殺風景な街並みが広がっているイメージがある(京都府立医大のせい?)。でも京大病院の前って小粒ながら割といい店が存在していて、見逃せないスポット。一見するとなんの店だか分からない「ビィヤント」。カウンター席のみの小さな店舗を、親子二人で切り盛りをされているカレー屋さん。ニット帽を被り、エスニックな装いの、店主のおばあちゃん。終始無表情で、寡黙で、余計なことは喋らない。ニヒルで、パンキッシュで、なんとも粋な存在感。シーフードカレー、野菜カレーとバリエーションがあるけれど、この店の看板はビーフカレーの辛口。さらに、目の前でじゅうじゅうと揚げてくれるでかいカツを加えれば食べ応えは十分。辛口を選択できるのはビーフカレーのみなので、注文時は「カツカレーの辛口」とスマートに宣言すべし。ここで「ビーフカレーの辛口、カツ入り」等とまどろっこしく注文するとモグリ確定、以降おばあちゃんの対応が目に見えて悪くなる(大嘘)。サフランライスであることは、視覚的に差別化が計られているわけで、普通のカレーとちゃうで!と宣言しているようなもの。果たして辛口でありながら、たまにある辛さだけを盲目的に追求したキチガイなカレーとは次元が違って、しっかりと風味があって美味い。食後コップ一杯の水を飲めば、口の中に残っている辛さは雲散霧消、後を引かない、切れ味のある辛さ。リセットされた舌をいいことに、同じ並びにある有名なラーメン店「らんたん」を一回だけハシゴしてしまった過去が……。一日一食の不健康な食生活を送る、そんなあなたに……(賛同者ゼロ)。

ビィヤント
★★★★ 4.0

錦市場

錦市場

ルイジアナママ

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とり安


焼き鳥屋と言えば一杯ひっかけながら……と夜のイメージが強いけど、ランチタイムから食える焼き鳥屋があっても素敵。烏丸御池の「とり安」は昼間からオープンする焼き鳥屋。正午を迎えると同時に狭い店内は、近辺のビジネスマンであっという間に満席に。親子丼、唐揚げ丼、焼き鳥定食がランチのメニュー。一番人気は唐揚げ丼。柔らかいゼリーのようなとろとろの卵と、揚げたてでカリカリの唐揚げという、二律背反する要素が上下に共存。早よ食わな唐揚げのカリカリ感がとろとろの卵に浸食されてふにゃふにゃにっ!焦って無心にがっついた結果、口の中がプチ火傷、びろんびろんに皮が剥ける……なんてのもご愛敬。焼き鳥屋だけあって唐揚げの美味さは文句なし。しっかりと腹一杯食えて充実したランチタイム。店内を仕切るのは華奢で幸薄そうな美人若奥様(失礼)。しかしその仕切りっぷりたるや堂々たるもので、全ての客を「おとうさん」「おねえさん」等と奥ゆかしき呼称で表現。俺って……ひょっとしたら「おとうさん」それとも「おじさん」?なんて不安に思ってたら「おにいさん」やって!やったー!(心の中で涙)……あーなんて単純な生き物なんや、男って。

とり安 (烏丸押小路角)
★★★★★ 4.5

ムガール


木屋町御池を上がった場所に「ムガール」というインド料理店がある。この辺りは高瀬川のせせらぎが聞こえてきそうなくらいに静かなエリア。木屋町通りに面するちょっと古めの雑居ビルの2階。薄暗い店内は、民族音楽が静かに流れ……なんだか怪しげな雰囲気。インド人のコックさんが作る本格派の料理なだけあって、全体的にややお高めな値段設定。お勧めなのは土日祝限定のウィークエンドランチバイキング。カレー3種に肉料理(チキン系)、ナン、サフランライス、サラダが食べ放題。さらにラッシー、マンゴージュースが飲み放題、自家製ヨーグルト、シャーベットといったデザート類も揃う。結論から言うとどれもしっかり美味い。チキンカレーなら鶏肉が、野菜カレーなら野菜類が、惜しげなくがっつりと入っていて具だくさん、食べ応えは十分。ナンに関しても短めのスパンで定期的にあつあつの焼きたてがやってくる。男子なら1,600円、女子なら1,250円と決して安くはない値段設定だけど、同じ系統の「万里小路 」に比べると俄然こっちのほうががっつける内容。「万里小路 」が細々とした総菜系を楽しむ女性的なエスニック料理なら、「ムガール」はご飯とおかずを腹一杯食える男性的なエスニック料理。ただ、ナンって割とすぐに腹がパンパンになってしまうから、思っているほど食えなかったりするのが、ちょっぴり不甲斐なく、悲しい。

ムガール
★★★★ 3.5

サラサ3


商店街が好きだ。他府県へのドライブ、商店街を発見すると必ず駐車して散策。できるなら都心から離れた場所にある、小さい商店街のほうがいい。なんか面白いものがあるかもしれない……好奇心にときめきながら歩く、だいたいはたいしたものはないんやけど。三条会は思い入れのある商店街。若かりし頃、ゲーセンに行ったり、ミニ四駆を買いにプラモ屋に行ったり、知り合いのおばちゃんが働く定食屋に行ったり。あたりにお茶っ葉の香りが漂うなか、買い物袋をかごに入れたおばちゃんの自転車が往来する、なんの変哲もない、地域密着型の商店街。そんな三条会になんとあの「さらさ」ができた。鴨川、西陣、富小路と、そりゃもう立地的には抜群なエリアで展開してきた「さらさ」、それがなんと三条会に!これは商店街好きにとっては大興奮なニュースである。その名も「サラサ3」。どこかの発泡酒のようなネーミング。3店舗目って意味かと思ったけど4店舗目だし、どうやら三条会・三条通りの「3」っぽい。店内は果たして三条マダムたちがぎっしり!(アド街ック天国風)明らかにこれまでの「さらさ」とは客層が異なる。お昼の開店と同時に即満席、待ち客もぞろぞろ。商売的には大成功やん。内装はこれまでの「さらさ」同様、前にあった建物のパーツを踏襲し、リメイクするスタイルで、中庭、「はなれ」があったりするスペーシーな空間。このセンスの良さはお見事としか言いようがない。できて間もないのに既に老舗の風格。お勧めはなんと言ってもコースのランチ。早く行かないと売り切れて、ワンプレートランチしか食えなくなる。たいへんボリューミーなコースで、メインディッシュのパスタはなかなかの食い応え。このパスタ、二人で入店してテーブル席に着座した場合のみ、二人分が大きなオーバルプレートに一気に盛りつけられて運ばれてくる。店内が一瞬どよめくほどのでかさ、チャレンジャブルな食いしん坊スピリットをいたずらに刺激してくれること請け合い。店員は全員イケメン(死語)。しかも全員なぜか★が二つ輝く田宮模型のエプロン。このときピンときた。よくミニ四駆を買っていた「京都模型」がすぐ近くに立地。その入り口付近に……あった!全く同じエプロンが売ってるやん!あんたらここでエプロン買うたやろ~。バレバレやで~。

サラサ3 (サラササン)
★★★★★ 4.5

スマート


ホットケーキって久しく食ってなかった……朝マックのあれ以外。使い古したスポンジのような貧相な食感のあれ、いつの間にか「こんなもんやな」程度に置き換わっていて。寺町三条を少し上がった場所にある「スマート」は、ホットケーキが有名な老舗の喫茶店。年季の入った店内は二階建てで、入口からは想像できないくらいに実はスペーシーな空間。お決まりのメニューを即座に注文する常連さんと、京都本を片手に入店してホットケーキを注文する一見さんとが入り乱れる、なんとも奇妙な光景。出てくるホットケーキは焼きたての、パンパンに膨れ上がった分厚いやつが二枚。まずは表面にバターを塗りたくって、その次にシロップをぶっかける。ナイフで切り分けた断面の全てにシロップをじゅくじゅくに染み込ませて食らう、これオレ流。ちょっぴり塩辛いバターと甘~いシロップがふかふかの生地に染みわたって……。朝から甘いもんを食うとなんか元気な一日がスタートしそうな予感。が、甘いもんを食べたあとはやっぱ塩辛いもんを食わな!……という負の無限連鎖もスタートしそうな予感。

スマート珈琲店 (スマートコーヒーテン)
★★★★ 4.0

松尾園芸


母の日ということでカーネーションを買いに松尾園芸へ。国道9号線、亀岡へと差し掛かる老ノ坂直前の桂・大枝。この辺りはタケノコが名産。○○農園、○○園芸と、野菜、草花を直売する店があちらこちらに点在するのどかなエリア。が、松尾園芸に人は集う。40~50台前後のキャパを要する駐車場が、繁忙時間帯には満杯に。お目当てはもちろん草花、そしてカフェ「ログ・ハウス」。まるで植物園のような広大なスペースの傍らに、ウッドデッキのテラス席を設けたカフェ。草花を物色する傍ら、予約待ち用の名簿に記入。言わずもがな客足が途絶えることはなく、しばらくは辛抱強く待つことに。この「ログ・ハウス」は園芸店のオマケ的な取って付けたようなカフェとは違って、サンドイッチ、カレー、ドリア等と幅広くフードメニューをもカバーする本格派。さらにスイーツ類もパフェ、ワッフル等、様々な種類をラインナップ。特にワッフルは注文してから焼くというスタンスで、あつあつ、サクサク感が楽しめてとっても美味しい。視界に入る草花、心地よい陽気、広大な敷地、そんな環境下での束の間のカフェ・タイム。ペットも同伴可で、京都市内にこんな場所があったのかと目を疑いたくなるくらいのカントリーでハート・ウォーミングな雰囲気。カフェオンリーの用途でも俄然活用したい、桂の隠れたオアシスなのである。