藤崎奈々子は豚骨ラーメン | 京都1975

藤崎奈々子は豚骨ラーメン


芸能人の名を冠する飲食店に初めて入店。その名も「藤崎奈々子は豚骨ラーメン」。身も蓋もない直球勝負な店名に物怖じしたら負け……いや、ある意味勝ちかも。店内には、当然ながら奈々子はいない。どこを見回してみても、いない。あるのは、奈々子の顔写真と共に掲示されたメニュー類。さらに、切り盛りする店員はメンズオンリーという、半ば悪意に満ちているとも言える意外性。入口で靴を脱いで、下駄箱に靴を入れて、鍵を取って、素足で入店するという、前代未聞な店構え。低予算なのか、確信犯なのか、改装具合がとても中途半端で、居酒屋としての趣そのままにラーメンをずるずるとすする姿は甚だ滑稽。肝心のラーメン自体はスープといい、麺といい、「凡庸」という言葉以外に表現が思いあたらない。「豚骨ラーメン」という言葉から万人が想像する、まさにステレオタイプな、最大公約数な風味の豚骨ラーメン。このラーメン店のプロデュースに、奈々子がどのくらい関わっているのか、事実は知り得ない。だけど、とにかく言えるのは全てにおいて中途半端だということ。どうせ奈々子の名を借りた「だけ」のラーメン店ならば、もっと割り切って店内に等身大人形とはいかないまでも、等身大ポップを置くだとか、液晶テレビで奈々子のムービーを流すだとか、店内放送で奈々子の肉声アナウンスを延々流し続けるだとか、それくらいのあざとさがあってもいいんじゃないかと。個人的には775円ぽっきりの775(ななこ)定食が無かった時点で幻滅だ。さらに言えば看板の奈々子の写真は発色がなんだか薄暗いし、箸ですくったラーメンを見つめる真剣な横顔のアングルも意図するところが謎。スープの味見をしている写真にしてみても、毒物騒ぎの食品を記者会見で敢えて頬張る某大臣を彷彿とさせるようで形骸な絵面。旬を過ぎたアイドルという理由があるにせよ、「焼肉小倉優子」のような胸キュン☆ビジュアルで勝負するくらいのあざとさがもっとあってもいいんじゃないかと。もちろん、メニューの立案自体に奈々子が参画するほうが好ましいのは言うまでもない。「奈々子が有名店で3日間だけ修行してなんとか作ってみたラーメン」だとか、「見よう見まねで餃子を作ってみたらできあがってしまった餃子っぽいもの」でもいいじゃないか。所詮いちアイドルに過ぎないのだから、背伸びをする必要は毛頭無し。等身大の奈々子で勝負と来たら、ソウルを感じるし、いくら不味くても私は食う。それはそれでハッピーだし、インパクト大だ。そういう割り切りが無い、中途半端なスタンスの芸能人店ならハッキリ言って存在価値が無い。最後に一応、私は藤崎奈々子のファンでも、興味があるわけでも、全く、無い、ほんとに。

藤崎奈々子は豚骨ラーメン 新堀川横大路 (ラーメン / 中書島)
★★★☆☆ 3.0